はじめに
この記事では、「ゲームを作ってみたいけど、どうやって作ればいいの?」という初心者の方向けに、ゲーム制作で使うゲームエンジンを紹介します。
この記事の内容
- ゲームエンジンとは?ゲームエンジンでできること
- 個人利用可のおすすめゲームエンジン
- Unity, UnrealEngine, Godot Engineの特徴を解説

筆者はUnityでスマホアプリゲームを作ってリリースしている、
開発歴5年目の個人ゲーム開発者です。(現在はPC向けゲーム開発中)
Unreal EngineとGodot Engineはチュートリアルを20時間ほどやった
経験から書いています。
プログラミングほぼ未経験からゲーム開発を始めました。
結論
先にどんな方にどのゲームエンジンがおすすめなのか書いておきます。
- Unity:基本的に全ての人におすすめ
- Unreal Engine:ハイスペックなPCを持っている人、プログラミングのコードを書きたくない人
- Godot Engine:PCスペックが足りなくてUnityでも厳しい人
詳しくはこれから紹介していきます。
ゲームエンジンとは?ゲームエンジンでできること
ゲームエンジンとは、PCにインストールして使えるゲームを作れるソフトウェアです。
2Dや3Dのキャラクターや建物、背景を配置したり、音を鳴らしたり、スマートフォンやゲーム機向けの形式で作ったゲームを書き出したりできます。
大手ゲーム制作会社やインディーゲーム制作者も使っていて、たくさんの有名ゲームがゲームエンジンで作られています。
有名ゲームが作られたのと同じツールが個人でも使えるというのはとても夢がありますよね!
ゲーム開発ツールとの違い
ゲームエンジンよりも簡単にゲームを作れる「ゲーム開発ツール」というものもあります。
ノベルゲームやRPGなどが比較的簡単に作れるものがありますので、作りたいジャンルが決まっている方はこちらもチェックしてみてくださいね。
ゲーム制作ツールには、「ティラノビルダー」「ティラノスクリプト」や「RPGツクール」「WOLF RPGエディター」などがあります。
おすすめゲームエンジン
Unity

Unityは現状一番人気のゲームエンジンです。
2024年10月に新しいバージョン「Unity6」がリリースされて、グラフィックがアップグレード、マルチプレイヤーゲームやモバイル対応のブラウザゲームが作りやすくなったりとさらに進化しています。
Unityで作られたゲーム
Unityで作られたゲームには、
- ポケモンGO
- 原神
- ドラゴンクエストウォーク
- スーパーマリオラン
- Among Us
などがあります。大手ゲームからインディーゲームまで、様々なゲームがUnityで作られています。
スマートフォンゲームの多くがUnityで作られている印象です。
利用料
年間収益20万ドル未満の個人および小規模企業は無料で利用可能です。(年間収益が20万ドルを超える場合は有料プランへ移行が必要)(※2025/1/7時点)
最新情報は公式サイトでご確認ください。
一時期Runtime Feeという料金体系が発表され議論を巻き起こしましたが、撤回されて従来通り小規模個人は無料で利用できることになっています。
メリット
エディタが比較的軽い
個人開発者にとって魅了的なのがエディタの軽さです。
あまりに古かったり、低性能のPCだと厳しいですが、10万円前後のノートPCでも大抵動きます。
筆者もノートPC + Unityでゲーム開発をしています。
アセットストアが充実している
ゲームを作る時に、絵や音楽や3Dモデルなどを全部自分で用意するのは大変ですよね。
Unityには公式のアセットストア(素材をダウンロードできるストア)があります。
無料のものもあるので素材をダウンロードして手軽にゲームを作ることができます。
学習しやすい
さらにUnityで魅力的なのは、学習のしやすさです。
現在出回っている書籍、Web上の情報ではUnityが一番多いです。エラーが出て自力で解決できない時などに、情報が少ないと詰むことがあるので情報の多さは初心者にとって大切です。
さらに、Unityのプログラミング言語はC#ですが、初学者にも比較的学びやすい言語です。
プログラミングが苦手な方には、「ノード」という命令のかたまりを繋いでゲームの動きを作る「ビジュアルスクリプティング」(無料)も用意されています。
わかりやすい入門書がある
Unityをプログラミング未経験から始めることができる書籍もあります。
筆者はこの本からゲーム開発を始めて、スマホゲームをリリースすることができました。
毎年新しく発売されているので、最新の情報で学習することができますよ。
2024年12月にUnity6に対応した最新版が出ています。
Unityおすすめ書籍
デメリット
ビジュアルスクリプティングの情報が比較的少ない
ビジュアルスクリプティングはプログラミングなしでゲームを作れるのは魅力的ですが、C#でプログラミングをしてゲームを作るチュートリアルや解説の方が圧倒的に多いです。
ただ、最近ではビジュアルスクリプティングの公式チュートリアルや書籍、Web上の解説も充実してきていますので、困ることは少ないかもしれません。
美しいグラフィックを作るには工夫が必要
後に紹介するUnreal Engineに比べると、Unityで美しいグラフィックを作るにはライティングの知識と工夫が必要になります。
Unreal Engineでは標準で高品質のいい感じの画面ができているので、手軽にグラフィックの美しい3Dゲームを作りたい方はそちらの方がおすすめです。
Unityまとめ
Unreal Engine
Unreal EngineはEpicGames社が開発したゲームエンジンです。
使うにはある程度のスペックのPCが必要ですが、初心者でも美麗なグラフィックのゲームを作ることができます。
「ノード」という命令の塊を線で繋いで作っていくので、プログラミングができなくてもゲームを作ることができます。
Unreal Engineで作られたゲーム
Unreal Engineで作られたゲームには、
- FINAL FANTASY VII REMAKE
- ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎
- Fortnite
- ストリートファイターV
- 8番出口
などがあります。最近のグラフィックが綺麗なコンシューマーゲームにはUnreal Engine製のものが多い印象です。
大手ゲーム会社も使っている一方、最近ヒットした「8番出口」はUnreal Engineで作られた個人制作ゲームです。
利用料
基本無料ですが、Unreal Engineを用いた作品の総収入が100万米ドルを超える場合は5%のロイヤリティを支払う必要があります。(※2025/1/7時点)
最新情報は公式サイトでご確認ください。
メリット
美しいグラフィック
公式サイトを見ていただけるとわかりますが、非常に美しいグラフィックを表現することができます。
Unityでも美しいグラフィックにすることはできますが、Unreal Engineではテンプレートでゲームを作り始めた瞬間からすでにいい感じの見た目になっていて、初心者でもハイクオリティな見た目のゲームを作ることができます。
ビジュアルスクリプティングツール「ブループリント」が使いやすい
Unreal Engine にはビジュアルスクリプティングツールである「ブループリント」が標準搭載されています。
ビジュアルスクリプティングがユーザー間に浸透しているため、Unityよりもビジュアルスクリプティングだけでゲームを作る面ではアドバンテージと言えるでしょう。
解説本や動画、Web上のチュートリアルなどもほとんどがビジュアルスクリプティングで解説されています。
テンプレート
Unreal Engineには「テンプレート」というゲームの基礎部分ができているものが用意されていて、例えばFPS/TPS, パズル, アクション, カーレース, VRなどのゲームを、テンプレートから作り始めることができます。
例えばサードパーソンテンプレートを選ぶと、3Dのキャラクターが歩いたり走ったりする機能ができている状態からゲーム作りをスタートできます。
デメリット
エディタの重さ
Unreal Engine では、美しいグラフィックを表現できる一方、高いPC性能が求められます。
スペックにもよりますが、ノートPCだとおそらく厳しいです。筆者のMacBookPro2019はUnityは余裕で動きますが、Unreal Engineはチュートリアルだけでやっとでした。
公式の推奨スペックは以下からご確認ください。
Unreal Engineまとめ
Godot

メリット
世界で人気上昇中のゲームエンジン
Godotは最近の国際ゲームジャムでUnityに続き2番目に使われている人気上昇中のゲームエンジンです(例:GMTK jam2021, 2022)。
商業ゲームでGodotが採用される例も出てきています。
完全無料
Godot はオープンソースのエンジンで、最初から最後まで完全無料です。
軽量・高速
インストール時25MB、ビルドツール容量約70MB前後と非常に軽量です。
さらに起動時間も5秒前後と非常に早く、サクサクと快適にゲームが作れます。
初期設定がほぼ不要
UnityやUnreal Engineが初期設定に多少手間がかかるのに比べ、Godotは実行ファイルをダウンロードして実行するだけですぐにゲーム開発を始めることが可能です。
さまざまな言語が使える
使える言語はPythonに似た簡単な独自言語GDScript のほかC# も選ぶことができます。さらに、
GDNativeを使用すると、エンジンを再コンパイルすることなく、C、C++、Rust、またはPython(Cythonコンパイラを使用)などのコンパイル済み言語を使用して高性能コードを作成できます。
Godot公式サイト “Godotの設計哲学” より
ということで、すでに慣れ親しんでいる言語がある方にとってもメリットだと思います。
ビジュアルスクリプトもありましたが、v4.0からは廃止となりました。
デメリット
まだ情報と作られたゲームが少ない
Godotは比較的新しいゲームエンジンということもあり、日本語情報が少ないということがあげられます。
しかし、Godotの人気は上昇傾向にありますので、これから期待といったところでしょう。
日本語情報に関しては、Unityなどと比べると少なめですが、公式サイトの日本語ドキュメントが充実しているほか、書籍が数冊出ており、Web上の情報も増えてきています。
参考リンク
Godotのわかりやすい紹介と開発に役立つリンクを掲載されている方がいらっしゃるのでリンクを載せておきます。

Godotまとめ
まとめ
ちなみに「情報の多さ」ですが参考として、大きめの書店だと、Unityの本が棚一列分だとすると、Unreal Engineの本は1/4棚、Godotは1,2冊といった感じです。(※私のよく行く書店の場合)
今のところUnityの情報が一番多く、人気的にはUnityかUnreal Engineの2択といった感じです。
今後変わってくる可能性はありますが、今のところ初学者が一番学習しやすいのはUnityだと思いますが、作りたいゲームがはっきりしていて、目的がある場合はそれに合わせたエンジンがいいのではと思います。

ゲームエンジンは基本無料のものが多いので、
迷ったら使ってみるのもいいと思いますよ!
ゲームエンジンよりも比較的難易度が低く、簡単にゲームが作れる「ゲーム制作ツール」についてはこちらからどうぞ。
ゲームエンジンとゲーム制作ツール、どっちがいいの?という方にはこちら!
>>ゲームエンジンとゲーム制作ツール、どっちを使うのがおすすめ?
ちなみに、Unityでのゲーム開発に興味がある方は、下記の記事から筆者が経験0からUnityを使って1年間ゲームを作ってみた記事を読むことができますよ。

それではまた!